コンピュータの世界では、テキストという用語は「文字のならびで表わされている情報」を意味しています。日常生活でも、人から人に情報を伝えるのには、本や手紙などに代表される「文字の並び」が多く使われています。ですから、コンピュータで情報を取り扱う時にも、テキストの情報が多いのは不思議なことではありません。たとえば、WWW は画像や動画や音などのさまざまな情報を含むことができますが、実際に情報を伝えるという部分では依然としてテキスト情報が中心になっています。
テキストの弱点として、その構造が1次元だということが挙げられます。人の頭の中では多数のことがらがネットワーク状につながっていますが、それをテキストで表すには「1つずつ順番に」書いて行かなければなりません。コンピュータ等の情報技術は、その不自由さをいくらかでも減らす手段として有効です。たとえばWWWに見られるハイパーテキストはその典型的な例です。
現在のコンピュータでは、テキストの入力にはおもにキーボード が使われます。キーボード以外にも文字を入力する手段としては
などが挙げられます。 OCRは紙に書かれた文字を読み取るので、コンピュータの前に座って使うのには向きません。音声入力は今後の発展が期待されていますが、今のところ「誰もが自由に使う」のに十分な速さや正確さが得られていません。手書き文字認識やソフトキーボードは普通のキーボードを持たない小型携帯機器で主に使われていますが、速度の点ではキーボードにかないません。 キーボードは、最初はとっつきにくいですが、少し練習すれば毎分60~ 100文字くらいの速度にはすぐなります。これは鉛筆などで筆記する速度を完全に凌駕しています。
ただし、前節で述べたような速度でキーボードが打てるようになるためには、タッチタイピングと呼ばれるやり方をマスターする必要が
練習の第1段階は、まず、キーがQWERTY…の順に並んでいる標準的なキーボードの場合、親指以外の8本の指を左手が「ASDF」右手が「JKL;」の位置になるように起きます。これをホームポジションと言います。 8本の指を常にホームポジションに置き、離れたキーを打つため指がホームポジションから外れても、打ち終わったらすぐにまたホームポジションに戻って来なければいけません。そして、どのキーはどの指で打つ、という対応規則を守るようにします。 これらをマスターすると、どのキーを打つと決めたら、そのキーに使う指を「そらで」動かして、キーを打ち、また指を元の位置に戻すことが反射的に行えるようになり、最後は先に説明したように高速に打てるようになるのです。
コンピュータでテキストを扱うことの利点の1つに、好きなだけ直せるというものがあります。ペンや鉛筆で紙に書くのでは、間違えたら修正液や消しゴムで少しずつ消すしかなく、大量に手直ししたときは清書し直さなければなりません。ここでは、コンピュータだとどのような直し方ができるかについて見てみましょう。 まず、一番基本的な直し方は、打ったばかりの文字を削除することです。これは打ち間違いをとり消すのに使います。それは「後退」キーを押すことでできます。コンピュータによっては「削除」キーを使うものもあります。 もっと別な場所を消したい場合は、消したい文字の直後にマウスカーソルを合わせてマウスボタンを押すと、入力位置を表す、 文字カーソルと呼ばれる目印がその位置に移りますから、そこで後退キーを押して削除します。なお、その状態で普通のキーを打つとその場所に文字が入るので、これで任意の場所にテキストを挿入できます。
次に、もっと大量に内容を消す場合には、消したい領域を選択します。大抵のエディタでは、領域の先頭にマウスカーソルを合わせた状態でマウスボタンを押し下げ、そのままマウスを移動して領域の末尾までマウスカーソルを移動してからボタンを離すことで領域が選択できます(図2.1)。
図2.1 領域を選択する
領域を選択できたら、次にメニュー等で「切り取り」機能を選択します。すると選択した領域がまとめて削除されます(図2.2)。実は削除されたものはコンピュータ内部で別に保存されているので、メニュー等で「貼りつけ」機能を選択するとその内容が再び挿入されて元に戻ります。
図2.2 選択した領域を切り取る
「貼りつけ」機能で挿入が起きる位置はテキストカーソルの位置ですから、「切り取り」をした後、テキストカーソルを別の場所に移動してから「貼りつけ」を行えば、テキストが移動できます(図 2.4)。また、「貼りつけ」を繰り返すことで、切り取っ た範囲を何箇所にでもコピーできます(図2.3)。
図2.3 切り取りと貼りつけ
図2.4 別の場所に貼りつける
このように、まとまった単位でテキストが移動できるということの意義は、単に「間違いを効率よく直せる」だけにとどまりません。コンピュータを使うことで、一度書いてみた文章を画面でながめてみて、つながりが悪ければ順序を入れ換えて再度読み直し、よくなければまた戻してみる、といった試行錯誤が自由に行え、文章を積極的に改良して行くことができるのです。
いつの時点でも、編集中のテキストを名前をつけて保存できます。そのためには「名前をつけて保存」機能を使用します。テキストに限らず、コンピュータ中の情報に名前をつけて保存したものをファイルと呼びます。 保存機能をを呼び出すと通常、ファイルの名前を打ち込む覧が現われますから、そこに自分がつけた名前を打ち込み、「OK」などのボタンを選択すると保存が行われます。 打ち込んでもテキストをファイルに保存しないと、そのテキストの情報はテキストエディタを終了させたときに消えてなくなってしまいます。テキストエディタに別の内容を読み込ませた場合なども同じです。ですから、なくなると困る内容は必ずファイルに保存してください(図 2.5)。
図2.5 ファイルへの保存
また、ファイルに保存してあった内容を取り出して来て編集の続きを行うこともできます。その場合には「開く」機能を使います。「開く」機能を選ぶと、直接開くべきファイル名を打ち込む入力欄が現われて、そこにファイル名を打ち込むことができるようになるエディタもありますし、もっと親切にファイルの一覧が表示されて、その中からどのファイルかを選択すれば名前を打ち込まなくて済むものもあります。
いずれにせよ、最後に「OK」などのボタンを選択するかRETURNキーを打つと、ファイルが読み込まれて、編集画面の中にファイルの内容が現われます。あとは既に知っているやり方で再度ファイルの中身を修正することができます。修正が終わったら、再度「名前をつけて保存」の機能で内容をファイルに保存します。なお、元と同じファイルに保存する場合には「上書き保存」機能を選択すればいちいちファイルの名前を指定しなくても済みます。
コンピュータで多数の情報を扱うようになると、どのようなファイルを持っていたか覚えるのが難しくなります。このため、どのようなファイルがあるかの一覧を見せてくれるプログラムを使う必要が生じます。
図2.6 ディレクトリの階層構造
また、さらにファイルが多数になると、それを(ちょうどWWWのディレクトリサービスがページを内容別に分類していたと同じように)分類して扱う必要が生じてきます。この分類の単位を、WWWの場合と同じ言葉ですが、ディレクトリと呼びます。ディレクトリの中にさらにディレクトリを置いて階層構造に分類することもできます(図 2.6)。 ディレクトリを使うようになると、ディレクトリを作成したり消したり、ファイルをディレクトリ間で移動するなどのプログラムも使う必要が生じます。コンピュータシステムによっては、ディレクトリ操作プログラムとファイル一覧表示プログラムが一体になっている場合もあります (図2.7)。また、テキストエディタでのファイル読み書き機能に前記の機能が付属していることもあります。
図2.7 ディレクトリとファイルの表示
ここまでのところ、テキストエディタで入力したのは英字、記号をはじめすべて「キーボードにある文字」でしたから、(シフトキーなどの操作はあるにせよ)その文字のキーを打てばその文字が入る、という点で分かりやすいものでした。 しかし、日本語となるとそう簡単ではありません。かなだけなら何とかキーボードに直接割り当てることも可能ですが、漢字となると千以上ありますから、直接キーボードで打ち込むのは不可能です。 そこで、かな漢字変換が登場します。かな漢字変換というのは、単語の読みをかなキーやローマ字を使って入力し、その読みを持つ漢字を探してくることで望む漢字に変換する、というものです。 かな漢字変換の使いやすさは、読みと漢字の対応を記したコンピュータ内部の「辞書」がどれくらい自分に合っているかに大きく左右されます。自分がよく使う単語が辞書に登録されていない場合は、その単語を辞書に追加登録できます。
テキストの検索とは、テキスト情報の中からある特定の文字の並びが現われる箇所を調べることを言います。たとえば「意外」を「以外」と変換間違いする癖がある人なら、ファイルの中の「以外」を1箇所ずつ検索していって、間違いがないかどうかチェックできます。 テキストの置換とは、テキスト情報の中のある特定の文字の並びを、別の文字の並びで置き換えることを言います。たとえば「及び」と書いてあるところをすべてひらがなの「および」に置き換えるといったことに使います。また、場合によっては1箇所ずつチェックしながら置き換えるかどうか判断することもあります。たとえば「影響が及ぶ」という意味の「及び」だけは漢字のままにしたいが、「AおよびB」はひらかなに統一したい、という場合には、前述の置換を一気に行うのではなく、1箇所ずつチェックして置換するかどうか判断する必要があります。 人間が目で探して直すのでは、見落としや間違いが避けられません。これに対し、コンピュータで検索や置換を行えばそのような心配がありません。このような単純な作業の繰り返しはコンピュータに任せるのに適しているのです。
電子情報ネットワークの上ではさまざまな情報サービスが利用されていますが、その中でもっとも古くからあるのが電子メール (electronic mail)です。電子メールはある人から別の人に電子的にメッセージを届けるような情報サービスです。いわば、「電子のはがき」だと思えばよいでしょう。
電子メールは機能的にははがきと似ていますが、次のような点ははがきより優っています。
電子メールは個人が個人にメッセージを送るものですから、コンピュータに「現在コンピュータを使っているのは誰か」ということを教えなければなりません。これを利用者の認証と呼びます。情報サービスの中には認証を必要としないものもありますが、電子メールではかならず認証が必要です。 典型的には一人一人が固有のユーザIDを持ち、また他人に自分の名前をかたられないようにパスワード(合い言葉)を設定しておきます。そして、コンピュータを使いはじめる時にユーザIDとパスワードを正しく打ち込むとはじめて、コンピュータが使える状態になるようにするのです。下にそのようなシステムの画面例を示します。パスワードはのぞき込まれても分からないように、画面には表示されません。
login: 利用者名 Password: ________ Welcome ...
電子メールを読み書きするクライアントにもいろいろなものがありますが、原理的にはどれもさほど違いはありません。ここでは典型的な電子メールクライアントの動作を、簡略化した形で示して説明します。 まず、電子メールクライアントを起動すると、自分あてに送られて来たメッセージの一覧が表示されます。
01 04/01 taro@kou1.ne.jp エープリルフール 02 04/01 mika@kou1.ne.jp Re: エープリルフール 03 04/02 sense@kou1.ne.jp 昨日の掃除
ここではメッセージごとに送信日付、メールアドレス、主題が表示されています(クライアントによって表示の内容や形式に違いがあります)。 メールアドレスは一般に、「利用者名@ドメインアドレス」の形をしています。ドメインアドレスというのはインターネット上で個々のコンピュータを特定する名前で、ここではその利用者がメールを読み書きする際に使っているメールサーバを実行しているコンピュータを表します。 主題は送り手がメッセージにつけたタイトルで、本文を読まなくてもどのような用件か分かるようにするためのものです。
メッセージを見るには、矢印キー、マウス、メッセージ番号などで見たいメッセージを指定して「見る」コマンドを選択します(具体的なやり方はクライアントによって違います)。次の記事は「宮城まさ子さん」が受け取ったメッセージの画面例です。
From: 湘南太郎To: 宮城まさ子 Cc: 先生 Subject: エープリルフール Date: Wed, 1 Apr 1998 12:01:30 JST Message-ID: <35F8EE56.70A20D94@kou1.ne.jp> 先生が盲腸で入院したので、あとでお見舞いに行 こうね。
先頭部分をヘッダといい、そのメッセージに関する情報が統一された形で格納されています。上の例では次の内容が表示されています。
最後のメッセージIDは、すべてのメッセージに異なるものがつけられ、これを指定すればどのメッセージかがあいまいでなく指定できます。 ヘッダの後に本文が表示されています。メッセージが長くて1画面に収まらない場合に下の方を見るやり方や、見おわって先の一覧画面に戻るやり方なども、クライアントごとに違っています。
自分から電子メールを送信する場合には、送り先のメールアドレス (To:)、主題(Subject:)、本文を自分から指定すればよいのです。なお、控え先(Cc:)のアドレスとして自分のアドレスを指定しておけば、自分がどのようなメールを送信したかの記録になります。
次は、「宮城まさ子さん」が先の太郎さんのメールを読んで、先生あてに送信記事を作成した画面例です。自分と太郎さんあてにCc:を指定していることに注意してください。
From: 宮城まさ子To: 先生 Cc: 宮城まさ子 , 湘南太郎 Subject: 入院って本当? 太郎さんに聞いたのですが、先生、本当に入院されたのですか。 それって、本当ならメール読めないよね。
また、この画面では日付やメッセージIDの記入はありません。日付やメッセージIDは電子メールを配送するときにコンピュータが自動的につけてくれるのです。
電子メールの返事も電子メールで出すのが普通です。このときは、クライアントの「返信」機能を使うと、自動的に送り先などが設定され、また元のメッセージが引用されるなど返信に便利なように処理がなされます。次は「先生」が先のメールに返信しているときの画面例です。 Cc:に先生と太郎の2人ぶんのアドレスが指定されていることに注意。
From: 先生To: 宮城まさ子 Cc: 湘南太郎 , 先生 Subject: Re: 入院って本当? > 先生、本当に入院されたのですか。 私は入院してませんよ。最初の太郎くんからの メール、主題が「エープリルフール」になってい たでしょう? Cc: をちゃんと見ましょうね。
電子メールを使うようになると、すぐに多数のメッセージが溜ってしまい、きちんと整理しておかないと後で「誰々から来たあのときのメッセージをもう1度見たいから探そう」と思った時大変です。このため、電子メールクライアントには、メッセージを複数の入れものに分けて保管する機能がついているのが普通です。多くのクライアントではこの入れもののことをメールボックスとかフォルダと呼びます。 まず、到着したメールは「未決」フォルダ(とここでは仮に呼びます)に入ります。ここまでで見て来たメッセージ一覧は実はすべて受信箱の一覧でした。読んだメッセージは、不要ならただちに削除してしまうこともできますが、保存しておきたい場合には、別のフォルダへ移動します。フォルダはいくつでも作れ、名前も自由につけられるのが普通です。必要があれば、どのフォルダでも(これまで未決フォルダでしてきたように)一覧を見てメッセージを個別に読んだり返信したりできます (図2.8)。
図2.8 メールボックス/フォルダの概念
ですから、用件の種類ごととか、メッセージをやりとりしている相手ごとに1つずつフォルダを作って関係するメッセージを(自分の発信したメッセージのカーボンコピーも含めて)入れておけば、後からやりとりを見直すときに分かりやすいでしょう。
ネットニュースは、電子メールほどではありませんが、古くからある情報サービスで、一人の人が投稿したメッセージは世界中に配送されて行き、多数の人が読むことができます。電子メールの返信と同様、ネットニュースでもある人の投稿に対して追加の投稿 (フォローアップ)を行なうことができます。 ただし、世界中から非常に多数の人が投稿するので、すべての記事が一緒くたでは(1日に数万のメッセージが配信されてくるのですから)大混乱になります。このため、ネットニュースの記事は多数の話題別の ニュースグループに分かれていて、利用する人はその中から適切な(自分に興味のある/話題にふさわしい)グループを選んで記事を投稿したり読んだりします。 電子メールが「はがき」だとすれば、ネットニュースは(一群の)「掲示板」や「新聞」に相当すると言えます。
ネットニュースのニュースグループの名前は、たとえば
fj.rec.sports.baseball
のようにいくつかの名前を「.」で区切ってつなげた形をしています。このうち、一番右側のもの(上の例ではbaseball)が個々のグループを表しますが、その左側(上の例ではfj、rec、 sports)はいくつかのグループをとりまとめる役割りを持ちます。これをカテゴリ(分類)といいます。 とくに一番左側の名前(トップカテゴリ)ごとに、ニュースグループ群の管理のされ方や配送範囲が変わってきます。代表的なカテゴリに次のものがあります。
そのほか、地域ごとのトップカテゴリ(kanto、okinawa、…) や、企業や大学などの組織ごとに自前のトップカテゴリを運用しているものも多くあります。
トップカテゴリの下のグループ構成やその意味、使われかたは、カテゴリごとに違っています。ですから、投稿する前にいろいろな記事を読んで雰囲気をつかんでおく方がよいでしょう。また、ネットニュースの場合はWWWなどと違って複数のやりかたの分類を共存させることができず、分類の変更もあまり簡単にはできないので、自分が興味を持っているグループを探すのはやや大変だといえます。
それでは実際に、ネットニュースの記事を呼んでみましょう。ネットニュースの場合も、具体的な操作はクライアントごとに変わります。また、練習用のカテゴリもそれぞれ違うでしょう。ここでは、想像上のカテゴリ「kou1.*」を典型的なネットニュースクライアントで読む場合の動作を、簡略化した形で示して説明します。 まず、ネットニュースクライアントを起動すると、次の画面例のようにニュースグループ一覧が表示されます。各グループがそれぞれ1行に表示され、そのグループのまだ自分が読んでいない記事の個数がグループ名の前に表示されています。
3: kou1.general 2: kou1.kamoku.butsuri 4: kou1.kamoku.kagaku 2: kou1.kamoku.suugaku 1: kou1.test
ここで矢印キーとリターンキー、マウスなどで見たいニュースグループを指定すると、そのグループに投稿されている記事の一覧画面に切り替わります。次の画面例は上の画面例で「kou1.general」を選択したときの記事一覧画面です。
R 2418: [sensei@kou1.ne.jp] 最初のテスト 2419: [masa@kou1.ne.jp] 盲腸について 2420: [taro@kou1.ne.jp] Re: 盲腸について 2421: [taro@kou1.ne.jp] 明日のテスト
この一覧画面では、記事番号、記事の送信者(From:)、記事の主題(Subject:)が表示されています。また、左端に「R」と表示されているのは「既に読んだ記事」を意味します。
ここで矢印キーとリターンキーやマウスなどで読みたい記事を選択すると、次の画面例のように記事本体が表示されます。
From: 宮城まさ子Newsgroups: kou1.general Subject: 盲腸について Date: Thr 2, Apr 1998 14:32:21 JST Message-ID: <35D8EE57.71B20F88@kou1.ne.jp> 先生は盲腸はもう取ったのでしょうか? 私は まだなので、盲腸になって手術するの恐いです。
この記事を読み終って記事一覧に戻ると、今読んだ記事のところに「読んだ」という印がついているのが分かります。
R 2418: [sensei@kou1.ne.jp] 最初のテスト R 2419: [masa@kou1.ne.jp] 盲腸について 2420: [taro@kou1.ne.jp] Re: 盲腸について 2421: [taro@kou1.ne.jp] 明日のテスト
ネットニュースは世界中から刻々と新しい記事が送られて来ますから、このようにコンピュータの機能でどこまで読んだかを管理してもらわないと、とくに多数のグループを読んでいる時には、同じ記事を何回も読んでしまったり、重要な記事を読み落としてしまうのです。
ネットニュースの記事を投稿するのも、やり方は電子メールの送信とよく似ています。ただし今度は、送信先(To:)ではなくニュースグループ名(Newsgroups:)と、主題(Subject:)を指定します。多くのネットニュースクライアントでは、記事一覧画面で「投稿」機能を選択すると、自動的にグループ名のところに現在見ているグループを設定してくれます。 たとえば、先の一覧画面で「先生」が新しく記事を投稿しようとした場合の画面例を示します。
Newsgroups: kou1.general Subject: テストの延期 今日予定したところまで行かなかったので、 情報Bの明日の小テストは延期します。
また、既にある記事を引用して投稿する場合には記事を指定してクライアントの「フォローアップ」機能を選択します。先の盲腸の記事に「先生」がフォローアップしている場合の画面例も示します。
Newsgroups: kou1.general Subject: Re: 盲腸について > 先生は盲腸はもう取ったのでしょうか? 私は > まだなので、盲腸になって手術するの恐いです。 私もまだ取っていません。私もやっぱり恐いですよ。
いずれも送信者や日付やメッセージIDの情報が記入されていませんが、これらはネットニュースクライアントが自動的につけてくれます。これらを投稿し終ったあとの記事一覧画面を見てみましょう。
R 2419: [masa@kou1.ne.jp] 盲腸について 2420: [taro@kou1.ne.jp] Re: 盲腸について 2421: [taro@kou1.ne.jp] 明日のテスト 2422: [sensei@kou1.ne.jp] テストの延期 2423: [sensei@kou1.ne.jp] Re: 盲腸について
なお、記事一覧画面は誰がみても(どこまで読んだかという情報を除けば)同じであり、ある人が投稿した記事を誰でもが読めるわけです。
グループで情報をやりとりする方法としてネットニュースについて説明しましたが、電子メールでもネットワーク管理者が設定を行うことで、グループ討論などを行なうことが出来ます。 それには、メーリングリストと呼ばれる宛先を用意し、誰かがその宛先に電子メールを送ると、特定のグループの人にそのメールがコピーされて配信されるようにするのです(図2.9)。同人誌のようなものと考えてもいいでしょう。
図2.9 メーリングリスト
sports-and-travel@abc.def.ghi.jkというメールアドレスを設定します。そうすると、
To: sports-and-travel@abc.def.ghi.jkで送られた電子メールは、そのグループのメンバー全員に配布されるという仕掛けです。
グループといっても、その人数はさまざまです。現実には、数人程度のメーリングリストから、数千人位の規模のものまでさまざまです。メーリングリストを使うと、ネットニュースとは違った形で、多対多の情報交換が出来ます。 メーリングリストには、広く公開されているものもあれば、参加している人達以外には公開されていないものもあります。また、公開されているメーリングリストにも、新規メンバーの参加を歓迎しているものも、誰かの紹介がないと新規参加できないものもあります。 なお、電子メールは基本的に私信として考えるべきですが、メーリングリストになると、私信とは言えなくなります。従って、届いた情報の取り扱いや発言の際の注意点などは、私信的な側面と、公開されている側面の両方に注意して考える必要があります。
WWWの情報公開機能に、掲示版の機能をつけたのが、通称、Web-BBSと呼ばれるシステムです。これは、Webページ内に掲示版を作り、そこを閲覧した人が意見を書き込んだり、その意見を他の人が見ることができるというものです。 Web-BBSの場合には、その掲示版の存在を知っている人ならば誰でもその情報を入手できることから、私信よりも公開された通信として扱われます。しかし、その掲示版の存在を知る人が少ない場合には、よりプライベートな情報が書き込まれたりすることが多く、その結果、知的所有権や、プライバシーの保護について問題を生じさせてしまいがちなので、注意が必要です。
WWWの内容(コンテンツ)、電子メールのメッセージ、ネットニュースの記事などすべて総合してインターネットメッセージと呼びます。インターネットメッセージには、それぞれ異なる情報流通の方向性があります。自分が発信したい情報、受け取った情報が誰から誰に向けて発信されたものであるのかを把握することが大切です。 インターネットにおいては、利用者は情報受信者であると同時に情報発信者でもあります。情報発信者であるということは、新聞・放送と言ったマスメディアと同じ立場に立つことです。したがって、情報発信を行なうには、その責任を十分に自覚しておくことが大切です。 電子メール・ネットニュースの場合にも同様の問題が起こるのですが、これらの場合は、書いたものに対する反応が直接に情報発信者の元に届きます。したがって、初心者の利用者でも使いながら教育を受けるという側面がありました。 しかし、WWWの場合は、作成したコンテンツに対しての反応が直接的に得難いために、回りからの指摘によって適切な使い方を身につけることが期待しにくくなります。そこでWebページに掲示版機能などを入れておき、読んだ人に感想を書き込んでもらうようにしておけば、反応を得やすくなります。
インターネットメッセージに限らず、多くの文書は自分以外の他人が読むことを仮定して作られます。しかし、インターネットメッセージの場合は、紙に印刷されることがないせいか、ついつい独り言的なおしゃべりや、多くの人に聞かせるべきでないメッセージの発信を行なってしまいがちです。ここでは、メッセージの作成に当たってどのようなことを考えるべきかを整理してみましょう。
インターネットメッセージを書く場合の大原則は「価値のある情報を発信しましょう」「自分のメッセージを読む相手のことを考えて書こう」です。すなわち、
をいうことを、意識的に心がけるべきでしょう。
「電子メール」と「ネットニュースやWWW」との最大の違いは、そのメッセージを読む人の人数の違いではなく、読む人が特定されているか、不特定多数かにあります。 電子メールの場合は、その通信範囲が多くなく読む人を特定して記述することができます。それに対してネットニュースやWWWの場合は、ごく一部の人達しか目を通さないような内容の場合でも、そのメッセージを読む少数の人の顔ぶれを最初から期待することはできません。一旦公表されたメッセージは公表した人が制御できない範囲にまで伝達され、書いた人が意図していない人がそのメッセージを読み、良くも悪くも思わぬ反応が得られることもあります。 また、同じ電子メールでもメーリングリストの場合には読む人の顔ぶれは一定の目的を持った人達の集まりですから、「特定多数」ということができます。 このような特性を考えて、電子メールとネットニュースやWWWを使い分けることで、より価値の高い情報発信ができるようになります。
すべてのインターネットメッセージが「価値のあるもの」である必要はありませんが、送り出した人には価値があっても、それを読む人に価値があるとは限りません。極端にいえば、送り出した本人、たった一人だけしか価値を見出していないかも知れません。 メッセージの中身を価値があると評価する人が特定の人達に限られるならば、それは電子メールにするべきでしょうし、より多くの不特定多数の人が面白いであろうと思える場合は、ネットニュースやWWWにするべきでしょう。 まず、内容を書いたら、最低でも一回は読み直すようにします。そのとき、読む人を想像してみましょう。どんな端末を使っているでしょうか? どんな気分で読むでしょうか? どんな言葉の人が読むでしょうか? こういった想像をめぐらせるだけで、メッセージの内容が、他者にやさしい内容になります。
ここまでで、インターネットメッセージを作成する時に考えておかなければならないことをまとめました。しかし、実際にインターネットメッセージを作成するに当たっては、その他にいくつかの技術的な約束ごとについて知っておく必要もあります。以下ではそのようなことがらについてまとめておきます。
インターネットを用いて発信された電子メールやネットニュースの記事には、発信した年日時を記録した Dateヘッダーというヘッダーがあります。 このDateヘッダーには、タイムゾーンが付記されているのが普通です。タイムゾーンとは、イギリス連邦にあるグリニッジ天文台の南中時刻を正午とする「世界標準時GMT」に対して、それぞれの国・地域における標準時の差を表したものです。 私たちの住む日本は、GMTに対して9時間進んだ時間を採用しています。したがって、日本で正午に発信した電子メールがイギリス連邦の首都であるロンドンにすぐに届いたとすれば、現地では午前3時に届く(夏時間期間の場合は、1時間遅い時間になります。)ということになります。この時間に起きている人は多くありませんから、その電子メールの返事が届くのは、早くても日本時間で夕方以降になるでしょう。 一方、同じ正午にアメリカ合衆国の首都ワシントンに向けて送られた電子メールがすぐに到着したとすれば、そのとき現地は前日の午後10時です。この電子メールも、同じようにすぐに返事をもらうことは期待できません。 Dateヘッダーは
Date: Thu, 05 Mar 1998 00:32:27 +0900
Date: Wed, 04 Mar 1998 09:46:19 -0600
Date: Wed, 04 Mar 1998 16:49:29 +0100
などのように書かれます。これらの末尾の部分は発信した地域の タイムゾーンないし時差を表しています。+0900は世界標準時より9 時間進んだ時差の地域で、日本はこれに入ります。-0600は6時間遅れなので、たとえばアメリカ合衆国のテキサス、+0100は1時間進みですから、たとえばフランスなどがあてはまります。 ちなみに、最初の電子メールが木曜日発信で、次の2通が水曜日発信の電子メールになっていますが、時間の経過をタイムゾーンと日付変更線を含めて考えれば、日本からの電子メールが一番古い電子メールになります。 日本国内のタイムゾーンは、上の表記の他に、
Thu, 05 Mar 1998 00:32:27 GMT+0900
Thu, 05 Mar 1998 00:32:27 JST
などの書き方があります。
まず、どのような形式ならば相手が読むことができるのかを調べておくべきでしょう。 通信相手が使っているコンピュータの画面に「日本語の漢字」が表示されるかどうかを考えてみましょう。特に電子メールの場合には、それを読むであろう人が特定されているので、日本語の漢字を表示できるのか出来ないのかが不確かな場合には、最初の通信には日本語の漢字を用いるべきではないでしょう。 同じように、相手がその文字を表示できるかどうかが不明確な、いわゆる丸数字やローマ数字などの「機種依存文字」と呼ばれている文字や、インターネットでうまく中継することが出来ない「半角カタカナ」などの文字は、インターネットでは用いるべきではありません。 また、電子メールやネットニュースは元々、テキストデータをやりとりするための通信手法ですから、バイナリデータを送ることはできません。 バイナリデータを電子メールやネットニュースで送る必要がある場合には、そのデータをテキストデータに変換して送る方法がありますので、それを使います。現在のインターネットでは、何通りかの変換方法があります。したがって、受けとる人が利用可能な方法を先に調べておくべきです。
大きいばかりで中身のないメッセージをやりとりすると、通信時間 \footnote{電話回線経由で読む人の電話代も考えるべきでしょう!} や保存領域の無駄になるので、一つ一つのメッセージの大きさは適当な「小ささ」にします。 さらに、多くの電子メールやネットニュースのサーバーは、ある程度以上のメッセージの送信を拒否するようになっています。これは、さまざまな誤操作・誤動作により、非常識な大きさのファイルが電子メールなどで送信されてしまうことを防ぐためです。 また、参加人数が多いメーリングリストの場合は、1通の電子メールが大量の通信を引き起こすことにも注意すべきです。
挨拶やお礼だけのメッセージは、読んだ人の反応が難しくなり、無駄なメッセージと見られてしまい、大抵無視されます。 特に、メーリングリストやネットニュースの場合は、他の多くの人の目に触れる内容ですから、「ネットニュースに投稿するにふさわしい内容」に気をつけるべきでしょう。場合によっては、電子メールを使って個別に返事を書いても構わないのです。
引用とは、他者の書いたものを自分の文書の一部に使うことです。なお、他者の書いたものを自分が書いたように見せて使うことは「盗用」にあたり、引用ではありません。引用は著作権法で規定され、判例などで実際の運用についての見解も示されていますので、それに従うべきでしょう。
実際のメッセージの引用では、引用されている部分を明確にするために、各行の先頭に 「>」などの記号や「Saito>」のように発言者がわかる記号を書いたりします。
From: youichi@abd.def.ghi.jk To: Saito TakeshiSubject: Re: test mail > これは、テストメールです。 > とどいたら返事を下さい。 届きました。 お久しぶりです。 メールアドレス変わったんですね。
From: yt@etoil.espace.wsd.ff To: Saito Takeshi, youichi@abc.def.ghi.jk Subject: Re: test mail Saito>これは、テストメールです。 Saito>とどいたら返事を下さい。 youichi> 届きました。 youichi> お久しぶりです。 youichi> メールアドレス変わったんですね。 お、こんにちは。 .....
のように書きます。 このような引用の方法も、多くの電子メールクライアントやネットニュースクライアントで自動的に対応してくれます。
一つの電子メール・ネットニュースの記事に複数のテーマが出てきた場合、内容が散漫にならないように、テーマを分割して、複数の電子メール・記事として反応することも、場合によっては議論の流れをきれいにする有効な手段です。 このような場合には、分割されたテーマについての反応であることをはっきりとさせるために、表題を書き直すべきでしょう。